本気噛みはさせないで!
本日は「人に牙を剥いて噛みつく」WANちゃんの飼い主さんからのご相談です。
ご相談の内容とWANちゃんのご様子を拝見させて頂きました。
飼い主さんが何やらWANちゃんを抑えつけていて、覆いかぶさるように「ダメでしょ!」と大きな声で叱っていました。
そのあと、WANちゃんが「ガウッ!」と飼い主さんに噛みつき、「ヴゥ~~~」と唸り声をあげながら飼い主さんを見つめています。
その目からは怒りというよりは怯えの表情を読み取ることが出来ました。。。
WANちゃんが飼い主さんに噛みついたのは、「攻撃」や「喧嘩」の気持ではなく、「恐怖」です。
WANちゃんは自分の身を守る為に噛みついているのですね。
犬の噛みつきには大きく分けて「甘噛み」と「本気噛み」があります。
その違いは噛む強さではなく、噛む時の理由や気持ちです。
甘噛みは主に遊びの一環だったり、飼い主様の気を引きたかったりとポジティブな感情ですが、本気噛みは、恐怖、嫌悪、回避、防衛、所有欲からくるネガティブな感情です。が、このWANちゃんの場合は明らかに本気噛みであることがわかります。
何故抑えつけているのか、という理由がわかりませんでしたが、どんな理由があるにしても飼い主さんのそのような行動がWANちゃんの本気噛みを誘発しているのですね。
*「甘噛みと本気噛みについて」の記事がありますので、よろしければご参考下さい。
◆犬には牙があります
犬には本気で咬めば人を傷つけることの出来る牙があります。
人と暮らす上で、犬に牙を使わせない為に必要なのは信頼関係です。
信頼関係があるからこそ、犬はその牙を人に向けることをしないのです。
逆に信頼関係が出来ていなければ、自分を守る為に牙を使うことは動物としては正しい行動なのですね。
飼い主さんの「犬を本気噛みにさせる行動」は信頼関係を築く妨げになるのだということに気がついて下さい。
大事なことは、WANちゃんに噛みつくことをやめさせるのではなく、飼い主さんがWANちゃんに噛みつかせるシチュエーションを与えないことなのです。
自分を守る為、嫌なことから回避する為、自分の物を守ろうとする為に「本気噛み」をし、それらの成功体験を積み重ねることにより、本気噛みはどんどんとエスカレートしていきます。
今回のように、WANちゃんに恐怖を与えながら叱ることは「噛みつきをやめさせる」どころか、更に悪化させているのですね。
◆犬の特性を理解しましょう
犬と人では種族が違います。持っている能力も特性も習性も本能も異なるのですね。
人と暮らす上で「人を噛む」ことは禁忌です。
でもそのルールは「人と暮らす上で人が決めたルール」なのです。
ルールは守らなければなりません、それは飼い主さんも一緒です。
飼い主さんが守るべきルールはWANちゃんに噛むチャンスを与えないことなのです。
飼い主さんはWANちゃんに「噛んではいけない」ことを教えるのではなく、噛む必要のない暮らしを提供してあげることが大事なのですね。
◆所有欲からくる噛みつきは本気噛み
今回の噛みつく理由は「口の中の物を取り上げるとき」という状況でした。
WANちゃんが一度咥えたものは、WANちゃんの物です。
それらを取り上げようとすれば、誰でも「横取りしないで」という気持ちになるのは当然な気持ちですね。
WANちゃんも同じ気持ちなのです。
◆飼い主さんがやるべきこと
基本はWANちゃんに咥えて欲しくないモノは片づけておくことです。
『それは咥えてはいけないものだから放しなさい!』というのはイヌには通用しません。
最初から咥えさせない環境を整えてあげることが大事なのです。
それでも片づけそこなってWANちゃんが咥えてしまった場合は、取り上げるのではなく、おやつや別なおもちゃと交換しましょう。
片づけそこなってしまってWANちゃんが咥えてしまったのは、WANちゃんが悪いわけではありません。。。
片づけなかった飼い主さんの責任だとご理解頂き、決してWANちゃんを責めたり、叱ったりすることのないように気を付けましょう
◆「チョウダイ」を覚えさせましょう
・WANちゃんが遊んでいるおもちゃなどを使ってトレーニングをします。
・WANちゃんに噛んでよいおもちゃを与え、噛んでいる最中に「チョウダイ」と言っておやつと交換します。
・おもちゃを放すことが出来たら、「お利口」や「グッド」の誉め言葉をかけ、おやつをあげましょう。
・何度も繰り返すうちに「チョウダイ」を覚えていくでしょう。
WANちゃんに本気噛みをするシチュエーションを与えないこと!
これが飼い主さんがすべき大事なことなのです。
飼い主さんがイヌの気持に寄り添うことで、WANちゃんは飼い主さんに信頼を寄せてくれるのですね。
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