分離不安とは
分離不安という言葉を聞いたことがありますか?
飼い主さんから寄せられる「吠え」のご相談で一番多いのは『要求吠え』次に多いのは『警戒吠え』
そして、その次に多いのは、、、ずばり今回のテーマの『分離不安』ではないか?
というご心配のご相談です。
過剰に吠える、悲痛な声で鳴き続けるのですが『分離不安』でしょうか?というご相談ですね。
犬の吠えは人で言ったらおしゃべりと同じなので、コミュニケーションツールの一つとして使われますが、人がいない状態で吠え続ける、鳴き続けるのはコミュニケーションとは違いますので、少し心配ですよね。
また「過剰な吠え」=分離不安??と疑う方も多いのですが、分離不安の症状は「過剰の吠え」だけでなく、他にも症状が見て取れるので、それらの行動が併発していないかを確認する必要があります。
分離不安とは
飼い主さんに対して依存心が強く、少しの間でも飼い主さんと離れることに危機感と不安を感じて精神の安定を保てなくなってしまう、
いわゆる心の病気の一つです。
どの犬種でも、どの年齢でも起こりえます。
このようなWANちゃんは生活の中で常に飼い主さんにつきまとい、金魚のフンのようにどこへでもくっついて歩いてきます。
常に飼い主さんの気を引こうとすることに専念しているのですね。
ほんの短時間離れるだけで(例えば、トイレやお風呂、朝のごみ出しなど)心が不安になり、戻ってきた時に感傷的かつしつこく
「お迎え行動」を展開させます。
分離不安の症状は
分離不安を抱えているWANちゃんたちは、飼い主さんが出かける前から不安を感じ始め、興奮もしくは抑鬱状態の様子が見られます。
最も顕著は行動は、飼い主さんの外出直後30分の間に出現します。
◆症状◆
◇飼い主さんが出ていこうとする姿に対する攻撃性行動
~唸り声をあげたり、、足元や足首に咬みつこうとする、ときには本気で咬んでくることもあります~
◇破壊行為
~モノを齧る、壊す、破る~
◇自傷行為
~体を過度に嘗めたり、齧ったりする~
◇多動行動
~止まることなく同じ場所をウロウロする、尻尾を延々と追いかけるような常同行動~
◇排尿、排便
~トイレトレーニングが完了しているのに飼い主さんがいない時だけ失敗する~
◇心身症
~下痢、嘔吐、便秘、血便~
◇無駄吠え
~過剰な吠えや悲痛な鳴き声が延々と続く~
これらの行動の多くは自己報酬型で、破壊行動はモノを齧ることで緊張がほぐれる為であったり、排尿や排便も生理的影響からくる行為なので自己報酬になってしまうのですね。また排尿は落ち着くサインでもありますので、そのような行為が現れてしまうことはうなずけます。
吠えたり、常同行動をする肉体的運動も同じです。
分離不安に対して勘違いしていること
分離不安の症状に対して、飼い主さんが大きく誤解していることが一つあります
それは、飼い主が不在の時にWANちゃんが破壊行動や排便をした時に、
置いていかれたことに対しての「腹いせ行為」なのだと思っていることです。
「置いて行かれたから嫌がらせをしてやろう」とか
「連れて行ってもらえなかったから困らせてやろう」とか。。。。
そんな心理で犬が破壊行為や排尿、排便をしたと思い込んでいる飼い主さんが時たまいらっしゃいますが、
それは正しい判断ではありません。
犬はそのような複雑な思考回路は持ち合わせていませんし、物事の解釈はそのように為されないからです。
率直に言えば、犬には「腹いせ行為」は出来ないのです。
腹いせ行為は、私たち人間とオラウータンやチンパンジーなどの霊長類のみが持っている特徴なのです
ですので、WANちゃんが飼い主さんに復習してやろうとか、困らせてやろうと考えてその行動を起こすのでは決してないのです。
またしつけが上手くいってないから、あるいは頑固で支配的であるから、もしくは退屈だからというわけでもありません。
分離不安を抱えているWANちゃん達がそれらの行動を起こす原因は「不安」のただ一つなのです。
また分離不安だった場合は、トレーニングや躾だけで直すのは少し難しい面があります。
行動診療獣医師との連携が不可欠になりますので、正しい判断、もしくは診断を受けて、
WANちゃんのストレスがなくなるように飼い主さんがサポートしてあげましょう。
次回はご自宅で出来る分離不安を軽減させる対処方法をお伝えしますね。
但し、深刻な分離不安だった場合はそれに限らず、行動診療獣医師へのご相談をお勧めします。
前の記事へ
« お散歩会VOL2のお知らせ